何らかのオタク

何らかのオタクだけど、何のオタクなのかは未確定。

郵便料金値上げに対する、30年前のささやかな抵抗。

 

1994年に出した年賀状です。

郵便料金値上げについて

2024年10月1日から郵便料金が変わりました。

通常はがきは63円から85円と、いきなり22円のアップです。84円だった封書も110円です。庶民の私にとって、手紙を出すことはもはや「贅沢」なことになってしまいました。

それにしても、今回の郵便料金改定は痛い値上げです。これでは余計にメールやラインに頼るしかないです。土曜日の配達も無くなって不便になった上に、大幅な値上げ→郵便の流通量が減る→赤字が増えて、また値上げせざるを得ない…。完全に負のスパイラルですよね。

30年前の話になりますが…

1994年1月24日にも郵便料金の値上げがありました。

はがきは41円から50円、封書は62円から80円に引き上げられました。値上げの時期が、年賀状のやり取りが過ぎてからなのが「惻隠の情」というか、まだ国民に対して配慮がありました。

今回の料金改定が、年賀状の時期より前なのが憎らしい限りです。それだけ赤字が切羽詰まった状況なのでしょう。大丈夫かな?日本の郵便事業の行く末…。

さて、冒頭のはがきは、1993年(平成5年)当時、神奈川県の秦野市に住んでいた、高校時代からの友人T子に出した年賀状の表書きです。(住所と宛名は一部消してあります。郵便番号がまだ五桁の時代でした。懐かしい。)

新年の1994年はちょうど「戌年」でした。そこでひらめいたアイデアがこの方法で。

当時の2円切手が秋田犬だったのを利用して、年賀状の表サイドに2円切手20枚と1円切手1枚を貼って、当時のはがきの料金41円にして出しちゃいました。

郵便料金を値上げする郵政省に対して、私なりにちょっとした抗議の気持ちを込めたのです。所詮、ごまめの歯ぎしりですけどねー。

よく見ると、平成5年12月30日の弘前局の消印が連続して押されています。私は毎年、年賀状は年の瀬も押し迫ってから投函してたものですから、この日付になったと思われます。しかもこの、常軌を逸した切手の貼り方なので、消印を押すのはたぶん手作業で行われたことと思います。

その節は余計なお手数をおかけしましたッ!

 

その年に投函した年賀状は30枚位だったでしょうか? もはや記憶にありませんけれど、投函した年賀状の全てにその策を施しました。郵便局で2円切手をでっかいシートで買って、怪しがられた? 記憶は残っています。

はがきに、切れ目のない連続した2円切手を20枚ドーンと貼るために、私製はがきに許される規程ルールの最大のサイズ(107mm×154mm)に厚手のワトソン紙を切って、手製のはがきを作りました。

ちなみに私は、現行の「うさちゃん」の2円切手よりも、当時の「秋田犬」の切手が今でも好きです。2円切手はこの秋田犬の図案を変えなくても良かったのになぁ。旧2円切手、いま見たら「レトロ」っぽくて、かえって可愛くないですか?

硬派で真面目でシブいのに、一周回って可愛いと思うんだけどな。いいデザインだったのに定番から外されたのが惜しまれます。

逆に「日本近代郵便の父」と称される前島密の1円切手のデザインは、この先郵便料金を値上げしたとしてもテコでも変えないんでしょうね。何だか、モヤモヤします。

でも、そもそも郵便に功績のあった偉人を、最初から「1円切手」にしちゃったセンス自体は好きですけどね。草葉の陰で「この吾輩を1円にするとは!」って怒ってないかな?

優秀な外付けHDDのような友人T子。

さて、この当時の受取人の友人T子に対して、私はこの春にラインで(笑)、近況を報告しがてら、頼みごとをしました。

▶前から挑戦してみたかったブログを始めようと思っていること。

▶そのために、過去に私が作った年賀はがき等を探していること。

▶昔、その友人の誕生日にプレゼントした手芸の額をまだ持っているなら、貸してほしいこと。

すると彼女はその額の他に、私が過去に彼女に宛てて出した郵便物を全て保管しており、今回貸してくれました。

この冒頭のはがきの他に、自分でも「うざっ!」と思う程の、饒舌な手紙たちの束とも思いがけず再会できました。そして、よくぞこんなの今まで捨てずにいてくれたもんだ!と、とても感激しました。

当時、投函しただけで既に用を成したはずの手紙たちとの思わぬ再会。

今から思えば、私は周りの子たちに比べるとかなりコミュ力が低かったと思います。実はシャイな面もあるのに、コミュ力が低い故の饒舌。そんな私が、安心して人と関わっていけるような気がした一番の手段が「郵便」だったと思います。

私は日記などは三日坊主で続かないタチなのですが、異常な筆まめでした。

「スマホ」のような便利な物などなかった80年代半ば。高校卒業後に進路が分かれてしまった友人たちに、何かっていうとウケを狙ったはがきや手紙を出していた私。お金は無いけど、おかしなことを夢想する時間と、手紙を書く時間だけは潤沢にありました。

あたかもタイムカプセル。

そして令和の今、かつて彼女に宛てて書いた【いにしえ】の自分の手紙を読み返すと、まるで古い日記を読むような気持ちでした。

昔埋めたタイムカプセル、しかも自分で埋めたのをすっかり忘れていたカプセルを、30~40年後に掘り起こしたような驚きにも似ています。「あー、たしかに当時、そんなことあったなぁ」と色々な記憶も甦り、懐かしい気持ちになりました。それと同時に、かなりイタいヤツだったな自分は…、という感じもしましたが。笑。

まさか人に出した手紙を、30年後に自ら読むことになろうとは思ってもみませんでした。何が起こるかわかりませんね、長く生きると。

それにしても、しょーもない時間つぶしに付き合わせるような私からの手紙の束を、昭和から令和の長きに渡り、捨てずに大切に保管しておいてくれたこと、そして改めてまとめて貸してくれたこと。T子には本当に感謝です。持つべきものは、整理上手でマメな友人です。私と真逆!

今回借りたはがきや手紙を元に、いろいろ過去に作った品々を紹介して行きたいと思います。