人形作りで参考にした書籍と、大量の市松人形の写真をもとに、自分なりにアレンジを加えて人形本体を作った経緯を紹介します。
実際に作ってみた人形本体

人形作家・土田早苗さんの『四季の手作り人形』(世界文化社/1997年刊)という本に触発され、この本で紹介されている作品の作り方をお手本にして、自分流にアレンジした人形を作りました。
この上の写真は、土田早苗さんの本に掲載されている作風とはかなり違います。
この本で作り方が掲載されている人形は、基本的にぬいぐるみです。頭部、胴体、手足など、全て縫われた布に綿を詰めて作られています。
本に掲載されている作品の、顔と手にはちりめん生地が使われており、表情は瞳を閉じたものが多く、おしとやかな雰囲気の可愛らしい仕上がりになっています。
そしてこの本の冒頭には別枠の【参考作品】として、ちりめん張りのお顔に象眼の技法で、ガラス状の目がはめ込まれている作品が掲載されています。目以外に、鼻も口も他の作品とは一線を画すような別の技法で作られており、着物の生地も格が高く、より一層すてきな人形となっています。
ただし、その【参考作品】の作り方自体は掲載されていません。きっと初心者には向かない、難しい作り方だからでしょう。その作品の作り方が掲載されていないのを残念に思いました。
そこで、その【参考作品】の人形がどうやって作られたのかを考えたところから、私の創作が始まりました。
自分流の人形を作るために
一般的に、市松人形は桐のおがくずに糊を混ぜて型抜きしたり、型に石膏を流し入れて作るようですが、その時はお手本もなく、私にはそこまで本格的にはできませんでした。
だから、その『四季の手作り人形』の作り方を手掛かりとし、参考にしました。
ぬいぐるみでは私の作りたい表情は作れなそう…。かと言って、本格的に作る手法もわからない。
そこで桐塑や石膏の代わりに、使い慣れた石塑粘土を用いて頭部や手足を作って、私が思い描く「市松人形」に近づけたいと思いました。
とにかく、まず、その『四季の手作り人形』に書いてある基本の作り方で、布で縫うとどんな感じになるのかを知りたくて、部分的にサイズ通りに縫ってみました。

型紙に従うと、ボディーと脚は同じ続き布で、足先までできます。
足首は前面にダーツを入れ、すくい込んで縫うことで、平らな布でいながら立体的に足ができます。
つま先は最初から足袋をはいたような形状に、型紙ができていました。
初心者にも縫いやすく、考え抜かれた合理的なデザインです。

これを作ったことにより、基本作品のサイズ感がわかりました。
でも、私は着物を縫ったこともありません。
だから本に掲載されている着物の型紙をそのまま使用するために、原型から作ってみるような回りくどい作業をしたのです。
そして、縫い上った見本の頭囲や胸囲などを計り、自分が粘土で作る頭部、胴体、肘から下の手先、膝から下の足先までのサイズの目安にしました。
ちなみにこの紺色の生地は、辰年の時に作った「カンフーあやつり人形」に着せた衣裳の残り布です。
他に参考にした書籍など
市松人形を作るにあたって、このブログに何度も登場する、廃業した青森・松木屋デパートの新古書バーゲンで購入したムック本『人形』(京都書院/1985年刊)の、第1巻から第4巻までを参考にしました。(←この本は後にメルカリでまとめて売却。笑)
他にも、青山惠一さんの『市松人形』(京都書院アーツ/1998年刊)も参考にしました。この本にはたくさんの市松人形の写真が掲載されています。着物を脱がせた人形の構造も多数掲載されていて、着物の着付け方も大変参考になりました。
今も好きな一冊です。
他に『骨董 緑青vol.12市松人形の系譜』(マリア書房/2001年刊)という本も購入し、参考にしました。
本職の方々が作られた、古今の市松人形は見飽きることがありません。それぞれに違う人形のお顔も、職人さんが作った綺麗な着物を見るのも楽しいです。
「市松人形」の世界は、本当に素晴らしい日本文化だと思います。
実物の市松人形を見たこともない状態で、それに近い物を作ろうとするには、こういった資料となる本が大いに助けになりました。技術は低い私でも、志だけは高く。
私がこの人形を作った25年前は、今ほどインターネットのコンテンツは充実していませんでした。今は検索すると、市松人形の作り方を教えてくれる色々な動画やサイトがあります。ビックリしました。
何なら3Dプリンターも安価で手に入る昨今。
素人の自分が手作りで一から市松人形を作る意義はあるのかな?などと考えてしまいます。
別の人形も作ってみたいなぁと思いつつ、何も作らずに25年経ってしまいました。
たかだか5年先、10年先の未来でさえ予測不能になっています。頭の中がまだ「昭和」のままな私は、時代の流れについて行くのも難しくなっています。
次回も人形の構造について。